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4 平成11年度までの社会福祉法人は、主として措置制度や行政との実費弁償による委託契約、社会福祉施設の施設整備補助制度によって運営されていたことから、経営の自由度が低く、事業の効率性よりも、資金が決められた通りに配分、支出されたかどうかという点が重視されてきました。これに伴い、社会福祉法人の会計も、本部や施設単位の措置制度における運営管理を目的とした「社会福祉法人経理規程準則」(昭和51年厚生省通知)に基づいて処理されていました。 ところが、平成12年度以降に始まった介護保険制度や、障害者福祉における支援費制度では、従来の措置制度とは大きく異なり、契約に基づく役務提供の対価として報酬を受け取ることから、経営の自由度が増すとともに、事業の効率性も求められるようになりました。このため、法人全体の経営状況の把握を目的とし、減価償却制度などの損益計算の考え方を導入した「社会福祉法人会計基準」(以下「旧会計基準」という)が、平成12年2月に厚生省の4局長連名で通知され、同年4月から適用されました。 しかし、この旧会計基準ついては、次のような問題点が指摘されていました。◇ 会計基準の適用範囲は社会福祉事業に限られ、公益事業や収益事業については別に計算書類を作成しなければならないこと。◇ 社会福祉事業であっても、病院、介護老人保健施設、授産施設など、他に会計ルールがあるものについては、その会計ルールを適用し、別に計算書類を作成しなければならないこと。◇ 介護保険事業にあっては、「指定介護老人福祉施設等会計処理等取扱指導指針」(以下「指導指針」という)との選択適用が認められているため、計算書類の様式だけでなく、計算処理結果が異なってくること。 これらの問題点は、事務処理の煩雑さとそれに伴う処理ミスの増加を招くだけでなく、経営内容を的確に反映した財務情報の提供(情報開示)や経営への有効活用の阻害につながるものといえます。 そこで、平成20年1月以降、会計ルール一元化委員会、社会福祉法人会計基準検討委員会を経て、厚生労働省は、これらのさまざまな会計ルールを一元化し、社会福祉法人の全事業に適用する「新たな社会福祉法人会計基準」を平成23年7月に制定しました。 さらに、社会福祉法人制度改革により平成28年3月31日に厚生労働省令として公布され、平成28年度から新様式で計算書類を作成することになりました。2.会計基準制定の経緯2.会計基準制定の経緯

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