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ii企業への支援を強化するため、所得拡大税制が見直されています。その他にも、IoT投資減税制度など各種の投資促進税制も整備されています。一方で、利益が向上しているにもかかわらず、賃上げにも設備投資にも積極的でない企業には各種の税制優遇の停止措置が置かれることになりました。また、中小企業向けでは認定経営力向上計画の策定によって受けられる税制上のメリットが、従来の法人税や償却資産税にとどまらず、不動産取得税や登録免許税にも広がっています。「中小企業の代替わり促進のための特例事業承継税制の創設」では、中小企業経営者の年齢分布のピークが60歳台後半となり、高齢化が急速に進展する中で、 日本経済の基盤である中小企業の円滑な世代交代が進んでいないことから、10年間の特例税制措置として事業承継税制の要件の大幅な緩和が行われています。具体的には、①猶予対象の株式の制限を撤廃し、納税猶予割合80%を100%に引上げ、②雇用確保要件の実質撤廃、③2名又は3名の後継者に対する贈与・相続に対象の拡大、④経営環境の変化に対応した減免制度の創設など、従来に比べかなり使いやすくなりました。ただし、認定経営革新等支援機関の指導・助言を受け計画を策定することや、「特例承継計画」を“5年間”の間に作成し都道府県に提出することなど、いくつかクリアすべきポイントがあります。そして、「経済社会のICT化に対応した税務手続の電子化の推進」では、経済社会のICT化や働き方の多様化が進展する中、税務手続においても、ICTの活用、データの円滑な利用により、社会全体のコスト削減及び企業の生産性向上を図ることが重要になっています。このため、大法人については法人税等の電子申告が義務化されます。また、法定調書や所得税の年末調整手続についても、一層の電子化に向けた措置が講じられるとともに、地方税の電子納税については全地方公共団体が共同で収納を行う仕組みが構築されます。また、電子レシートについての対応が行われるとともに、所得税の青色申告特別控除の要件に電子申告又は電子帳簿保存が盛り込まれるなど、税務手続の電子化に関してかなり多くのページが割かれているのも平成30年度税制改正大綱の特徴といえます。「贈与税・相続税における租税回避行為の規制」としては、「小規模宅地等の特例の見直し」「一般社団法人等による租税回避行為規制」な

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