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 近年、経済活動においてIT化、電子化の流れはますます強まっています。企業は言うまでもなく、行政においても電子化の対応とともに行政手続の簡素化、行政コスト削減が重要課題となっています。 税務手続においても、平成16年から開始された法人税申告における電子申告の割合は平成27年度には75%を超える状況になりました。 しかし、大企業を中心に電子申告をしていない法人も数多くあり、「電子申告と書面申告の併存」が行政の効率化の阻害化要因となっていることから、平成30年度税制改正大綱において、大企業に関しては電子申告がいよいよ義務化され、「書面申告は無申告とみなす」という大きな制度変更が行われることになりました。 平成30年度税制改正大綱においては「経済社会のICT化や働き方の多様化が進展する中、税務手続においても、ICTの活用を推進し、全ての納税者が簡便・正確に申告等を行うことができる利便性の高い納税環境を整備するとともに、データの円滑な利用を進めることにより、社会全体のコスト削減及び企業の生産性向上を図ることが重要である」とされ、電子申告等への対応に数多くのページが割かれています。 大企業の電子申告の義務化のみならず、年末調整控除書類の電子化、電子レシートへの対応、地方税の電子納税への対応など、税務データの電子化に対する改正が数多くなされ、「代表者の電子証明書の取得」「決算書・勘定科目内訳明細書のファイル形式の限定」「添付ファイルの送信容量」など阻害要因となっていた諸課題も改善されています。 電子申告の“義務化444”という言葉に象徴されるように、企業にとっては負担増ととらえる向きもあるかと思いますが、電子申告を先行して実施している企業の中には、逆に作業の効率化によるメリットを享受している企業も数多くあります。本書では、電子申告の義務化への対応のみならず、「電子申告を実施することはデメリットばかりでなく、デメリットを上回る効率化メリットがある」との観点をもう一つのテーマとして掲げ、電子申告による経理作業・申告作業の効率化というメリットについても多くのページを割いています。はじめに

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