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中小企業の経営環境は厳しい状況を迎えており、今後ますます厳しくなるものと考えられます。しかし、このような状況下でも独自の技術や新しいサービス・新商品の絶え間ない開発と営業努力でしっかり成長を続けている中小企業も数多く存在します。これらの中小企業にとっては企業を継続して発展させるだけの経営力を備えた後継者の育成と、円滑な事業承継が重要な課題です。老舗の優良企業で内部留保が厚く、毎期継続して利益を上げている企業の株式等の価額は、非常に高くなっているケースが多く見受けられ、オーナーが死亡した場合の高額の相続税負担も大きな問題です。また、相続人が複数いる場合には、会社の経営権の相続が争族44にならないように時間をかけて準備し、実行する必要があります。平成20年10月1日に施行された「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律」(中小企業経営承継円滑化法)は、民法特例で相続対策を、非上場株式等の納税猶予制度で相続税対策を、金融制度で納税資金や株式買取り資金などの資金対策をそれぞれ支援するための法律です。残念ながら施行から7年半経過した平成28年3月末で経済産業大臣の認定を受けた相続税の納税猶予の件数が894件、贈与税の納税猶予の件数が626件、民法特例が117件、金融支援が113件と低迷しています。平成25年度税制改正において、適用時の要件緩和4項目、適用期間中の要件緩和3項目、負担軽減措置4項目、租税回避防止措置3項目の合計14項目の改正が行われましたが、期待されたほど利用が進んでいないのが実情です。そこで、平成29年度税制改正では、①贈与税納税猶予適用時に相続時精算課税の適用を可能にしてリスク低減②贈与者死亡による相続税納税猶予への移行時の適用要件緩和③事業継続要件の雇用確保要件の少人数の場合の要件緩和──が行われ、一層利用しやすくなりました。はじめに

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