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第1部】中小企業の事業継承の現状と課題【5必要があります。後継者の側から現経営者に権限委譲を要求するようなことをすると、現経営者から「私はまだまだ元気だ。私を引退させる気か」などとトラブルになる可能性が高くなります。また、後継者が金融機関に現経営者所有の株式の移転について相談に行ったところ、現経営者が反発して逆に銀行に対して株式売却によるM&Aの相談をするといった形で泥沼化してしまった例もあります。後継者を決めることは難しいものです。しかし、早くから後継者候補に対してさまざまな教育を行い、社内に後継者として認知させることが重要です。ある程度の規模の企業になると複数の後継者候補を競わせながら育成していくことも可能ですが、中小企業においてはなかなか困難であるのが実情でしょう。現経営者が健康で元気なうちに後継者教育を始め、いよいよ実際に権限委譲を始める際には数年間伴走していく必要があります。この際に留意しなければならないのは指揮命令系統を段階的に後継者に一本化することでしょう。後継者育成のポイント後継者教育を始めるのは早ければ早いほどよい数年間は伴走しよう = 健康なうちに行う後継者育成は社長の重要な仕事指揮命令系統は一本で図表2■ 後継者から委譲を求めるとトラブルのもとに■ できるだけ早く後継者教育を開始する

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