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 孤独死(孤立死)の確立した定義はなく、まだ全国的な統計も存在していませんが、東京都監察医務院が公表しているデータによれば、東京23区内における、一人暮らしの65歳以上の高齢者の自宅での死亡者数は、平成14年の1,364人から、平成26年は2,891人と2.1倍に増加しています。 超高齢社会を迎え、内閣府が公表した高齢社会白書によると、平成26年現在、65歳以上の高齢者のいる世帯数は2,357万世帯と、全世帯数(5,043万世帯)の46.7%を占め、そのうち「単独世帯(596万世帯)」及び「夫婦のみ世帯(724万世帯)」が過半数を占めています。 そのため、高齢単身世帯や高齢夫婦世帯で相続が開始すると、亡くなった人の財産がどこで、どのように管理運用されていたのか確認することが困難な事例が増加しています。 税理士は、相続税の申告実務を通じて培った、隠れた財産を探す具体的な方法についての知識を持つことから、遺産整理業務や相続税の申告業務における財産目録作成の唯一の専門家であると考えられます。 遺産争いに発展する事例に共通していることは、特定の相続人が遺産の内容について開示しないということです。また、他の共同相続人から、被相続人の財産はもっとあるはずだと疑念を持たれると、遺産分割協議すら始められません。 そのため、財産目録の作成に際しては、「ないこと」の確認が重要です。相続税の申告実務や遺産整理業務において、遺産分割をし、申告漏れ財産を生じさせないために、それが必要となります。 相続税の申告実務では、継続して記帳された帳簿がなく、証憑書類も散逸していることが大半です。そのため、相続税の申告に必要な資料はどのようなものか、収集した資料から何が分かるのか、などを理解しておかなければなりません。はじめに

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