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1 本書は、「外食産業」に分類される中小飲食業の経営者の方々に日々役立つ実践的な経営技術書を目指して執筆いたしました。 近時の飲食国内事業所数は、約80 万社弱、市場規模は縮小傾向で現在は23 兆円ほどとなっております。景気変動要因や消費支出動向、加えて少子高齢化とその時々の食嗜好ブーム、さらに激しい企業間競争で、飲食業は規模の大小を問わず、日々厳しい経営に直面しているのが実情です。 それなりの経営組織を持ち、経営戦略を立てている上場外食企業然り、いわんや組織や情報力に歴然とした格差がある中小外食企業は、経営技術面でも大きく遅れをとっています。 筆者は、飲食業の経営と財務・税務会計や事業年度経営計画・新規立ち上げ・コンサルティング・運営指導に25 年間携わってまいりました。その中で飲食業の経営は、「判断の基礎知識とその使い方の手順」を知っているかどうかが、大きな決め手になることをたびたび実感してまいりました。 飲食業の特性は、いわば劇場型経営であり、第一に日々お客様が入るか否かで経営成績が決定されること、すなわち経営サイクルが速く、日々の売上傾向に左右されることだといえます。それは「日銭キャッシュ・フロー経営」そのものです。これまで中小飲食業界は、変わらぬ鉄則と称して、経営者の「経験と勘」に頼る経営が主流でした。しかし激しさを増す過当競争の中で、秩序だった経営思考の原理原則を外しては、もはや経営は成り立ちません。 それでは飲食業の経営は基本的にどのように考え、どのように回していったらよいのでしょうか。飲食業経営者が、日々直面し、判断をくだすべき経営事象には、必ず「経営マネジメント判断」「マーケティング判断」「財務・税務判断」「管理分析判断」の4つの要素が含まれています。 本書では、この4つのカテゴリーの基本となるそれぞれの考え方と経営技術を「FOOD 経営コンテンツ」として整理し、その4つのコンテンツを連動思考してはじめに

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