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1飲食業経営の問題点12する問題」と「人に関する問題」、そして「経営戦略に関する問題」です。まず、飲食業の売上は、物品販売とは異なり、訪問営業という手法は取りません。とはいえ、待ちの経営手法でよいのかというとそうでもありません。店舗の開店時間中そのものが一番重要な営業や販売促進の機会であることを十分に認識しておくことが必要です。ではどうするかといえば、今店舗で食事をされているお客様へしっかりとした価値を提供することです。これによって、次のお客様を誘引することになります。商品力、価格力、雰囲気、清潔感が融合された提供価値がどう評価されるかで売上動向が決まります。売上高そのものを獲得するための販売促進策を打っても、一時的な効果で結局元のラインに戻るだけとなります。そもそも売上や収益が得られない飲食店の経営や店舗業績は経営手法そのものに毀き損そんがあるか、店舗営業が疲弊しているかのどちらかであるといえます。その意味で飲食業の売上に関する問題は、人に関する問題と経営戦略に関する問題の解決に依存しているといえます。人に関する問題は以下の2点が重要です。1点目は人件費管理の問題です。原価や費用をFLコスト(フードレイバーコスト。材料費と人件費のコストの略称)として把握した場合、食材原価比率と人件費比率を一般的には60%以内とする経営をしなければなりません。これは飲食業の損益構造から算出されるもので、このうち人件費比率は30%以内が必務となります。もう1点は労務における人の問題です。まず、就業規則を整備し、閲覧に供すること。労働の対価として経営者は労務関連法規に準拠した給与を支払うこと。しかし、最も重外食産業としての飲食業の経営の問題点は、以下の3点に集約されます。「売上に関大手飲食業と中規模・小規模飲食業では、商圏や客層・客単価が異なります。加えて業種業態や店舗物件への投資額、客席数を決め、稼働させるための人材を投入しますが、ここにも経営技術の差が発生します。このように大手と中小では対峙する要素は多いものの経営の決め手となるのはどちらも想定する来店客数の確保にあります。よって客単価よりも客数での損益採算ラインとその動向を把握しておくことは欠かせません。そのため、商圏や集客が重要であることは間違いありません。本書の基本概念売上に関する問題人に関する問題

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