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減損不要ⅲ)時価の著しい下落の判断 資産の時価が著しく下落したときとは、時価が帳簿価額から概ね50%を超えて下落している場合をいいます(運用指針・11(1))。 この場合の時価は、公正な評価額で把握することになりますが、通常、それは「観察可能な市場価格」をいいます。市場価格が観察できない場合は、「合理的に算定された価額」(例えば、不動産鑑定評価額等)を用いることになります(実務指針〈3〉・Q4)。 また、その回復可能性は、相当の期間に時価が回復する見込みであることを合理的な根拠をもって予測できるか否かで判断することになります。ⅳ)減価償却費不足額がある場合の減損処理 現行の公益法人会計基準を適用する以前に減価償却を実施していなかった場合、現行基準の適用時に過年度の減価償却を行わず、その適用初年度から減価償却を開始する会計処理(以下「経過措置」)を採用することができました(運用指針・附則4)。この場合における下落率の判定は、経過措置による帳簿価額によるのではなく、取得当初より正規の減価償却を実施してきたと仮定した場合の帳簿価額によります。 すなわち、取得当初より正規の減価償却を実施してきたと仮定した場合の帳簿価額と比較して時価が50%を超えて下落している場合に初めて、帳簿価額と時価との差額について減損損失を計上することになります(実務指針〈3〉・Q5)。ⅴ)使用価値の見積り 時価と比較する使用価値の見積りに当たっては、資産又は資産グループを単位として行うことができます(運用指針・11(2))。 この固定資産の使用価値は、対価を伴う事業に供している固定資産について、資産又は資産グループの継続的使用と使用後の処分によって生ずると見込まれる将来経過措置適用による帳簿価額600正規の減価償却を行った場合の帳簿価額[下落率66%] 300時  価[下落率33%] 20087第3章 日常の会計処理のポイント

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