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「地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律(医療介護総合確保法)」が平成26年6月18日に成立し、わが国の“医療・介護”は2025年の地域包括ケアシステムの構築に向け、一体的な整備を進めるようになりました。これを受け、都道府県では「効率的で質の高い医療提供体制の構築と地域包括ケアの構築」「地域の創意工夫を生かせる仕組み」「質の高い医療・介護人材の確保と多職種連携の推進」「限りある資源の効率的な活用」「情報通信技術の活用」等の視点から計画を作成し、整備を進めています。安定的な介護事業経営こそが、高齢者等に安心・安全なサービスを継続して提供する根本となります。経営改善に取り組み、継続してサービス提供できる体制づくりが望まれます。本書は、介護事業者並びにこれから介護事業を始めようと考えている方はもとより、税理士・医業経営コンサルタント等の事業者をサポートする方々にも参考にしていただけると思います。内容は大きく三つに区分することができます。第一は、介護保険制度の生成過程と改正内容を含めた現状及びその課題、介護関連法規と、介護保険制度の概要等を俯瞰しているのが第1章です。第二は、介護事業の経営に関するもので、経営戦略、組織と人材マネジメント、サービスの質とリスクマネジメント、事業計画の策定方法を解説した第2章、第3章です。第三は、経営管理に関する部分です。会計(決算書)の意義と経営分析の内容、介護事業に関係する税務及びサービス種類別の経営実態と経営ポイントの第4章〜第6章です。それぞれの章で完結していますので、必要なところを重点的に見られるのも特徴の一つです。本書が介護事業者等の経営の参考となって、利用者が十分な介護サービスを安定的・継続的に受けられる介護保険制度が持続することを祈念いたします。その一方で、超高齢社会の進展に伴い将来性の高い産業として注目を集めてきた介護事業は、慢性的な人手不足に加え、他産業からの新規参入による競争激化、資本力の脆弱な小規模事業者は厳しい経営状況から脱皮できないなど、経営上の問題を抱える事業者も多数存在しているのが現状といえるでしょう。平成27年9月吉日石井計行野中康弘林 浩治はじめに

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