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28介護保険制度が導入されたことで介護ビジネスが成立するようになり、今後も発展していくことは明らかです。平成12年4月1日の介護保険制度の施行前は、何らかの形で自治体などの介護福祉サービスを受けていた人についても、新制度の下で保険適用の適否がなされ、サービスを受けるようになりました。その一方で、それまで既存のサービスを受けていなかった人、あるいは受けられなかった人が新たに介護保険サービスの対象となり、まさに保険制度として多くの人がサービスを受けられるようになりました。介護保険制度の導入で大きく変わったのは、次の2点です。  制度創設後は、利用者は契約の当事者となり、介護サービスは自らの選択により受給サービス内容を明確化させた上でサービス供給業者との契約に基づき、受けられるサービスとなりました。④ 寝たきりになりやすい  高齢者は若い人に比べて心身の機能が全体的に低下しているから、治療のためにベッドに寝かせているとすぐ床ずれができ、筋力の低下や関節の拘縮が進んで寝たきりになってしまう危険性が高く、退院が困難になることが多いといえる。このため、治療そのものと併せて、寝返りをうたせる、ベッドから起こすなどの介護やリハビリテーションを行うことが大切である。⑤ 標準値が若い人とは異なる  高齢者の各種検査値は、若い人の基準値とは異なる値をとることが多いわけであるが、これは老化による生理的変化であるから、必ずしも治療が必要なものばかりではない。このため、医学教育や医療の現場において、高齢者の心身の特性に基づいた老年医学や老人医療の確立普及を図ることが大切である。・「措置」から「契約」への転換  介護保険制度創設までの高齢者介護は、自治体または自治体から委託を受けた社会福祉協議会や社会福祉法人などが、行政措置としてサービスを提供してきました。これを措置制度といいます。社会保険研究所『老人診療報酬便覧』を一部修正① 介護保険制度創設で介護ビジネスが成立(1) 拡大する介護保険市場介護保険市場・介護ビジネス及び介護事業の特性

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