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 都心部の駅のホームには、数多くの診療所の看板が並んでいます。地方でも主要道路の交差点には数多くの診療所の看板が乱立しています。診療所件数の増加にともない、通院する患者にとっては選択肢が増え、利便性が高まる反面、診療所にとっては厳しい生き残りの競争を強いられる状況といえます。 ご承知のとおり、日本の国民医療費が40兆円に達するまでになり、厚生労働省は、“団塊の世代”が75歳以上となる2025年を目途に、地域包括ケアシステムの体制を構築し、増加し続ける医療費の抑制を図ろうとしています。 地域包括ケアシステムとは、高齢者の尊厳保持と自立生活の支援という目的のもと、高齢になっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最期まで自分らしい生活を続けることができるように、地域の医療、介護、福祉等のあらゆるサービスが連携し、包括的に1人の高齢者、患者、利用者等を支える体制を目指すものです。 これは、私たち国民にとって命に直結する最も大切な医療や介護の供給体制が変わろうとしていることを意味します。同時に、地域に密着しながら医療サービスを提供する診療所にとっても無視することのできない大きな変化といえます。 このようななかで、本当に厚労省が目指す地域包括ケアシステムを実現することはできるのでしょうか。また、その中核を担うであろう各診療所は、地域包括ケアシステムの意図をどれだけ理解し、地域に目を向けているでしょうか。 私たち「TKC全国会 医業・会計システム研究会」(TKC医会研)の会員は、TKC全国会に所属する税理士として、毎月、顧問先の診療所に訪問(巡回監査)し、適正な会計処理がなされているかを確認はじめに

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