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10は今後、それほど増えないことが予想され、このまま外来患者数が増加していくとは考えにくいといえます。 加えて、長期処方が一般化したことなどにより、平均通院回数が大幅に減少していることも注目されます。 前述したように、2年ごとに改定されている診療報酬についても抑制傾向が続いています。 医業収益は、「患者数×診療単価」で表すことができます(図7)。 このうち「患者数」は、①〜③で説明したように、競合する一般診療所数の増加や長期処方の一般化などにより大幅な伸びは期待できず、「診療単価」は度重なる診療報酬のマイナス改定などの影響を受け、それが減収を招いていたと考えられます。 しかし、減収となったからといって、そう簡単に支出(コスト)を減らせるわけではありません。 収益が10%減ったからといって、スタッフの給与費を10%カットできるでしょうか。それどころか、看護師などの有資格者を中心に給与費は高止まりしており、あるいは建築費の高騰や高額医療機器の導入などによって、設備費も増加する傾向にあります。 診療所の経営者としては、収益の減少をコストに転嫁する術がありません。 図8は、先の「M-BAST」における耳鼻科(院外処方)の経営成績について、その推移を見たものです。長年にわたり、収益が減少するなかにあって、給与費も、設備費も、その他の経費も大幅には削減できず、ただ役員報酬を削減することによって対応している診療所が多いものと推測されます。 その結果、図1−1・2、図2−1・2に見られたような「減収・減益」傾向を招いたものと考えられます。

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