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Ⅰ2 診療所を取り巻く経営環境は著しく変化しています。 超高齢社会の進展による国民医療費の増加にともない、2年ごとに実施されている診療報酬改定では、診療報酬の抑制傾向が続いています。また、患者ニーズの多様化や疾病構造の変化に柔軟に対応することが求められるとともに、従来のような医療機関同士の連携(病診・診診連携)だけでなく、「地域包括ケアシステム」に示されるように、地域の行政や介護・福祉施設などとも密に連携し、患者の住み慣れた地域や自宅での生活を地域全体で支える「地域完結型」の医療が求められています。 このような状況のなかで、実際の診療所経営がどのような状況にあるのか、まずはその現状について見ていきます。1 「TKC医業経営指標(M-BAST)」から見た経営動向 まずは、図1−1・図1−2(3頁)と図2−1・図2−2(5頁)をご覧ください。 全国の税理士・公認会計士で組織する「TKC全国会」では、1975年以来、毎年企業の財務データの分析を実施し、「TKC経営指標(BAST)」を発刊しています。この医業版として「TKC医業経営指標(M-BAST)」があり、これは全国のTKC会員の顧問先である医療機関の経営成績と財務状態を集計・分析したものです。 TKC会員が毎月継続して実施した巡回監査と月次決算により作成された会計帳簿を基礎とし、そこから作成された決算書(貸借対照表および損益計算書)に基づいていることから、大変、信頼性が高いと診療所経営の現状

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