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iiの通知文書の送付が開始されるなど、税務当局による書面添付重視の対応がより強化されています。 こうした経過を経て、今や法人税等への書面添付は、税務当局にとって税務行政の円滑化に寄与するものと評価され、また実施企業にとっては金融機関など対外的信用力の向上に寄与することが理解され、税理士にとっては、税理士の公共的な使命の遂行、税理士業務の完璧な履行を意味するとの認識が、広く定着するに至りました。 このように法人税申告書への書面添付の件数が次第に増加する一方で、近年、書面添付割合が低い相続税申告書への書面添付の増加が、税務当局からも期待され要請されるようになりました。その背景には、平成25年度税制改正で相続税法が改正され、平成27年1月1日以後に開始する相続案件から申告納税者が増えるとの予測があると思われます。 相続税の書面添付割合が低い要因として、「相続税の書面添付は更正事案が多い」「納税者が巡回監査の対象ではない」「財産評価が複雑で被相続人の全財産・負債を完全に把握することが難しい」などの理由が税理士側から挙げられています。 TKC全国会では、「租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図る」との税理士の使命は、法人税と所得税に限定されるものではなく、「相続税申告においても、申告書作成に当たって、どの程度内容に立ち入って検討し責任を果たしたかを書面添付によって明らかにするべきである」との基本的な考えから、平成26年12月から、相続税の書面添付のスタンダード(TKC版)をまとめるために、本書の制作チームを結成し、半年余りをかけて、本書が完成した次第です。 全体の構成としては、第1章、第2章では、相続法と相続税法の歴史を取り上げ、家督相続から均分相続への転換、相続税法の変遷の要点を説明。第3章「相続税申告の考え方とスケジュール」では、依頼人との信頼関係構築、相続財産の調査と確定、書面添付の基本的な流れを解説。第4章から第10章では、財産の評価方法、相続税の特例、遺産分割等の基本と実務を詳述しています。第11章は相続税の書面添付の具体的手順、第12章は、相続税申告と書面添付の

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