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 ただし大正3年以降の戸籍法では、入夫婚姻の届書に入夫が戸主となる旨を記載しなければ、女戸主が継続する扱いとされていました。こと③離籍 ⇒  家族が戸主の居所指定に従わないとき又は戸主の同意を得ずして婚姻や縁組をしたときに、戸主がその者を家籍から追放すること(要届出) 戸主の地位は、戸主の財産権とともに、家督相続という制度により承継される相続の一形態とされていました。また、「家」の統率者としての地位の承継も含まれているため、遺産相続と異なり、旧戸主から新戸主へすべての財産権利が譲り渡される単独相続である点が、現在の民法と大きく異なっています。 戸主以外の家族の財産については死亡相続のみでしたが、家督相続については隠居や入夫婚姻、国籍喪失といった、次に掲げるような事象により、戸主の生存中に家督相続が発生することもありました。①戸主が死亡したとき②戸主が隠居したとき③戸主自身が婚姻し別戸籍に去ったとき④女戸主が入夫婚姻を行い夫に戸主を譲るとき⑤入夫婚姻により戸主となった夫が離婚により戸籍を出るとき⑥戸主が日本国籍を失ったとき このように、小説やテレビドラマの中に出てくる「隠居」という制度が法律として存在しており、生前に家や財産を自分の意思で後継者に承継させることができました。隠居した時代劇の主人公が仕事や資産がなくなったとぼやいていた理由、また、高齢者がよく口にする「生前相続」という言葉の意味もこれ【家制度における廃家・絶家・離籍】①廃家 ⇒ 戸主が他家に入るために、自ら家を消滅させる身分行為②絶家 ⇒  家督相続人の不存在及び無財産のため、家が自然に消滅する第2節戦前までの旧民法の原則は“家督相続”■5.家督相続の開始時期

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