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本書の内容は、「租税正義」の理念を中心に据えた租税法における紛争予防のための理論である。具体的には、税理士の職務と責任、租税法を学ぶ意義、租税法律主義と租税公平主義、税務調査における紛争予防、個人所得課税における紛争予防、法人所得課税における紛争予防、相続税における紛争予防などについて基礎理論と実務を踏まえた内容を取り上げた。このほか税理士が取り組む、巡回監査や税理士法三三条の二による書面添付などの租税法上の意義も明らかにした。思えば、筆者の恩師である松沢智先生には、常々、租税法研究の根底に「租税正義」を据えるべきであると指導していただいた。その松沢智先生が、TKC全国会の創設者の飯■毅先生との対談を契機に、飯■毅先生が「租税正義」の実現を全国の税理士の方々に啓蒙されている事実と、その哲学を知ることとなり、感嘆されていたお姿が昨日のことのように思い出される。一九九二(平成四)年八月の第一回租税資料館賞授賞式で、飯■毅先生から、筆者の研究に対して温かい激励をいただいたことに奇しき縁を感じる。その激励は、光栄なことであり、筆者のその後の研究生活の大きな励みになったことはいうまでもない。このお二人との出会いは筆者にとって大変な幸運であった。お二人の「租税正義」に対する崇高な志を受け止めることができているか否かは、心もとないが、筆者なりに自身の研究に今後も常に問いかけていく覚悟である。iiiはしがき

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