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そうであれば、税理士が租税法を学ぶことは、社会がいかに流動化しようとも、先人が営々と築いてきた専門家としてのプロフェッションの地位を不動のものとする唯一の方途といえる。「税理士よ法律家たれ」という言葉の趣旨は、税理士が社会的にプロフェッションとしての地位を確固たるものにしていくための前提条件を明確にしたところにある。前述のプロフェッションの定義によれば、「一定の基礎理論をもった特殊な技能を、特殊な教育または訓練によって習得し」その技能を駆使してクライアントの要請に応じることがプロフェッションには求められるのであるといえる。科学的な基礎理論とその基礎理論に裏付けられた技術すなわちスキルの存在が、プロフェッションとしての税理士に求められることが確認できよう。税理士に対する社会的ニーズは税法の法律専門家として、税法の解釈・適用能力を駆使して、税理士法第一条の使命を果たしていくことにある。申告納税制度は、税理士の存在を前提に構築されているといっても過言ではない。税法の法律家に不可欠な基礎理論とは、租税法の基礎理論である。そして、技術、技能とは、税法を適正に解釈・適用していくための法的思考、すなわちリーガルマインドである。ところで、基礎理論とその理論に裏付けられた技術はプロフェッションとしての税理士に不可欠であるが、一方で、この両者は筆者の提唱する紛争予防税法学の研究対象と一致する。四 「紛争予防税法学」は本物のプロフェッションとしての税理士に不可欠以降のページは省略しています13第一章 税理士の職務と責任

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