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特殊な教育または訓練によって習得し、それに基づいて、不特定多数の市民の中から任意に呈示された個々の依頼者の具体的要求に応じて、具体的奉仕活動をおこない、よって社会全体の利益のために尽くす職業である。」注⑶と定義されている。プロフェッションとして社会的に承認されるためには、①個人的存在ではなく社会的集団として活動し、集団として承認されること、そして、②その集団は、その技能の教育、訓練、維持、向上のための責任を負い、③その集団は、その個々の構成員であるプロフェッションの行動を規制し、懲戒を加える自己規律を加える団体であるという点にその特徴を持つとされる注⑷。税理士が、この定義におけるプロフェッションに該当する職業であることに疑念の生ずる余地はない。プロフェッションとしての税理士は、第一に、税理士が基礎理論に裏打ちされた高度な税法の知識を有すること、第二に、依頼者の要請に応じて主として税務代理業務を行うこと、第三に、申告納税制度をサポートすること、は結果として日本の国家社会全体の利益に尽くすことになる。そして、税理士は税理士会という団体を構成し、その技能の向上に努め、職業倫理を高めるために精力的に取り組んでいる。まさに前述したプロフェッションの定義に該当する職務を遂行する専門的職業が税理士であるということができる。プロフェッションとして社会的に承認された高い地位を得る不可欠の要件が、学識に裏打ちされた基礎理論と専門的技能を保持し、その技能を常に向上させる努力が実質的に図られていることにあることは必然といえよう。それでは、税理士がプロフェッションとして社会的に承認される前提としての専門的技能とは何かといえば、税法の法律専門家としての税法の解釈・適用能力であることは税理士法が定めるとおりである。ここに税理士に対する社会的ニーズも凝縮される。12

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