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いうことを宣言したのが、第一条の趣旨なのである。」注⑵と同条の構造を踏まえた各文言の意義を明確にされた。松沢『職務と責任』では、「税務に関する専門家として」を職務内容とされているが、筆者はこの文言を、税理士が税務に関する「プロフェッション」であることを大前提に、その使命を明確化したことにとりわけ注目すべきであると考える。そして、この「専門家として」の文言は、プロフェッションとしての税理士と解して、次のすべての文言にかかる同条の中核になる文言であると理解すべきであると考える。プロフェッションとしての税理士の使命を定めたのが税理士法一条の趣旨である。そうすると同条は、「独立した公正な立場で」とは「税理士の地位」(クライアントや租税行政庁との関係性)を、「申告納税制度の理念にそって」とは税理士制度の創設目的が憲法の基本原理である国民主権に適合する納税制度である「申告納税制度のサポート」をすることを、「(租税法に規定された)納税義務の適正な実現を図る」とは「税理士の職務と責任の範囲」を明確に定め、税理士がプロフェッションとして、その使命を果たしていくべきことを宣言したものであると解することができる。プロフェッションとしての税理士の地位、目的、そして、職務と責任を集約して定めたのが税理士法一条であることを、まずここに明確に理解しておくべきである。この「専門家として」とは、いわゆる「プロフェッション」としての税理士を意味する。プロフェッションとは、「学識(科学または高度の知識)に裏づけられ、それ自身一定の基礎理論をもった特殊な技能を、三 プロフェッションとしての税理士11第一章 税理士の職務と責任

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