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 9昨今の経済情勢や政治状況は、すべての分野で本物かどうかが厳しく問われる時代に突入したことを我々に実感させる。苦境にあえぐ企業もある一方で、好業績をあげ、攻めの経営を展開している企業もある。品質の良いものをリーズナブルな価格で消費者に提供する。商人としては当たり前のことであるが、その当たり前のことができているかどうかが問われているのが昨今の状況といえる。勝ち組か負け組かの選別の唯一の基準は、社会的ニーズに真摯に対応しているか否かであり、極めてシンプルな基準である。上げ底もブランドに胡坐をかくことも許されない。正真正銘の本物を社会に提供しているかどうかが問われているのである。本物を提供した者が必然的に勝ち残り、勝ち組の地位を確立したまでのことである。それは物の販売だけにとどまらない。サービスの提供にもあてはまる。国民のニーズに応え、本物のサービスを提供している者は生き残り、そうでなければ淘汰される。税理士や弁護士といった士業にもこの原理はあてはまる。規制緩和の流れはこの淘汰のスピードをさらに加速させている。最難関の弁護士資格を取得しても安泰とはいえない。税理士も同様で、国家資格であることに胡坐をかける時代は過ぎ去ったといえよう。第一章税理士の職務と責任一 はじめに

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