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」8Auditことにより、適法な申告であることが法的に論証されるのである。租税法律主義の原則の下では、税理士は①から③のすべての段階で適正性を確保したことを論証することにより申告の正当性が説得力を持つ。そこにはネゴシエーションの余地はないはずである。紛争予防は調査の段階では遅きに失するのであり、申告の準備段階(巡回監査)注⑷が重要となる。リーガルマインドを前提にした巡回監査の実施により正確な事実認定が可能となり、紛争予防が実現する。注⑴ 佐藤幸治他『法律学入門』(有斐閣、一九九四年)二一四頁。注⑵ 最判昭和五十六年四月二十四日『民集』三五巻三号六七二頁。注⑶ 増田英敏『納税者の権利保護の法理』(成文堂、一九九七年)。なお、平成二十三年の国税通則法の改正により、税務調査手続は、事前通知要件など法整備された。注⑷ この巡回監査については、本書七六頁「第四章の八」で詳述しているのでまず参照されたい。巡回監査という用語を本書では用いるので、ここでその意義を確認しておく。巡回監査とは、TKC全国会の創設者の飯■毅博士が、「Field の訳語として紹介された用語をいう。その内容は、税理士や公認会計士が顧問先を毎月訪問し、会計資料ならびに会計帳簿等の適法性、正確性および適時性を検証し、不備があれば是正し、指導することを意味する。税理士法三三条の二が定める書面添付制度と一体となって、税理士の職務の高度な履行に寄与し、税理士の社会的信頼性確保の必須要件に位置づけられる業務と評価できる。

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