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る。)(大前提)を、③認定された要件事実(要件に対応する事実)にあてはめることである。質を有する給与に係る所得をいう(所税二八条一項)。」と定めていることを根拠として判断する方法である。この定義規定の解釈から導かれた給与の性質を有する所得か否かの実質的な判断基準を最高裁判例等の判例から導出する。すなわち、①雇用又はこれに類する原因に基づいて、②雇用者の指揮命令に属して、③非独立的に提供する労務の対価で、退職に伴う一時支給金を除いたものである注⑵か否かの三要件を、前記の事実にあてはめて判断する方法である。そうすると、①の雇用関係の有無は、契約書の存在により一応充足、②の指揮命令の存否も事例によれば社長の求めに応じて役務提供していると見ることができるので充足、しかし、③の非独立的に提供する労務の対価か、というと神保町の駅前に事務所を有し、弁護士という独立した立場で役務提供をしているのだから第三の要件を充足していない。よって、給与所得には該当しない、との結論を導き出すことができる。これが法的に考え判断する方法である。このような法規定を根拠に法律要件を導出し、事実にあてはめ筋道を立てて判断することをリーガルマインドと理解できる。このリーガルマインドとは法的三段論法の思考形式といえよう。この事例で示したとおり、法的三段論法とは、①いかなる事実が存在しているのかという事実認定に始まり(小前提)、②該当する個別実定税法の条文から抽出された課税要件(ここでは、いわゆる納税義務者等の課税要件ではなく法律要件としての課税要件を意味する。以下同意義として用いこの三段論法を用いて実務上の問題を整理する考え方がまさにリーガルマインドなのである。したがって、実務上の問題点を、①の事実認定の問題か、②の課税要件の導出をめぐる租税法解釈の問題か、もしくは③の要件事実への要件のあてはめの問題かの、いわゆる法的三段論法を構成する三つのステージのいずれに5序章 リーガルマインドと紛争予防

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