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の分析・判断能力であるといえる。経営上のアドバイスには、顧問会社の経営上、何が問題かを洞察し、その問題を排除し、未来を拓くための手法を提案する能力が不可欠である。税理士の本来業務である税務代理業務では租税法の解釈・適用上の事柄が問題となる。たとえば、節税戦略はクライアントには大きな関心事である。節税をするうえで何が問題であるかを突き止め、その問題を整理し、クライアントに提案する。事業承継と課税問題を論じる場合にも、税法体系を踏まえたうえで問題点を整理し、早い段階から法的に判断を加え、対処する戦略が必要となる。すなわち、税理士に「物事を法的に筋道を立てて考え的確に判断する能力」が今ほど求められる時代はかつてなかったともいえる。この時代の要請に応えるために、「法的に」筋道を立てて考え、判断する能力とは具体的に何かを、税理士自らが理解する必要がある。なぜ「法的に」判断する能力が重要かといえば、税理士の実務は租税法律主義により支配されているからである。絶大なる権力を保持する課税当局に対して、税理士のポジションは法律により強固にされているのであるから、税理士実務を法の支配の下に置くことが不可欠である。そこに「法的に」判断することの重要性があるのである。この法的に判断する能力がリーガルマインドなのである。また、このリーガルマインドは天賦のものではなく、スキル(技術)であるから訓練すれば身につくものであることを忘れてはならない。リーガルマインドは法的に考え、判断する能力ということができる。では法的に考えるとは、具体的にはいかに三 3 法的に考え、判断するとは?──それは法的三段論法の考え方序章 リーガルマインドと紛争予防

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