sample9255_57138
40/42

とは、中小企業と個々の金融機関また税理士などの支援者の間の情報交換・情報共有等の三者相互連携には、大きなネックとなります。このネックの解消こそがバンクミーティングの役割です。まして、複数の金融機関同士では、独占禁止法の制約で、相談ができませんので、中小企業自身が主催者になるバンクミーティングが欠かせないものになります。しかも、中小企業としては、なかなか金融機関の求める情報を独力で提供することはできませんから、中小企業と1対1の関係にある親密な税理士・公認会計士・認定支援機関などの力を借りたバンクミーティングが必要になるのです。つまり、税理士などの支援を受けた情報開示資料の提案やバンクミーティングの仕切りが求められると言うことです。債務者が主催者になって、複数の金融機関に一同に会して貰い、経営改善計画や返済計画の提案書を説明し、中小企業と税理士・公認会計士・認定支援機関とそれぞれの金融機関が質疑応答を行い、早期に結論を出すということが一般的なバンクミーティングということになります。このような見方によれば、バンクミーティングは、単なる情報交換の新手法として扱うのではなく、中小企業の窮境状況を解決するための重要な対策として捉えるべきです。複数の金融機関から借り入れのある中小企業に正常返済を付与するためには、このバンクミーティングが唯一・無二の解決策とも言えます。現在も、各金融機関の本部・審査部には、複数行借り入れで手つかずとなっている案件がかなりあるようです。今後も新規の複数行からの借り入れ案件が増加し、それほど減少することはないとみられています。この解決には、どうしても中小企業が最も信頼する税理士などの力が必要であり、複数の金融機関と連携組んだバンクミーティングは必須となります。皆様には、本書を一読して頂き、バンクミーティングの疑似体験をして貰いましたが、この体験は、実際に債務者がバンクミーティングを開催し運営する時に、大いに役立つものと思います。同時に、税理士・公認会計士・認定支援機関が、税務署に対する企業の情報開示の支援を行うように、金融機関に対する情報開示支援を円滑に行っていただくことを期待いたします。2014年12月中村  中 久保田 博三渡邊  賢司

元のページ  ../index.html#40

このブックを見る