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2 図表1は金融庁が平成25年9月末までの同法取扱い状況を実績値として公表したものである。そして法律の期限到来後もその趣旨は尊重され、金融機関はできるだけ中小企業の要望に沿い返済猶予に応じてきている。しかし、金融庁の監督指針が求めた「条件変更等から最長1年以内に債務者が事業計画を作成する」という決まりを実際には事業計画の未作成、あるいは計画が画餅となり計画と実績に大幅な乖離が生じている事実がある。このような事態のソフトランディングを図るため、国は平成24年4月に「政策パッケージ」を発表し、再生支援協議会の機能強化や「経営革新等支援機関」の認定措置を講じた。さらに再生支援協議会は本格的な再生計画に至らない企業に対しては「3年程度の暫定計画で様子を見る」とした「暫定リスケ」も推進している。こうした措置の結果、金融円滑化法が失効した後も倒産件数は低位で推移してきている。1.バンクミーティングとは すべての金融機関は他行の動向と衡平性に着目していると言える。企業はすべての情報を全行に同一内容で開示しているか、金融機関からの要望事項は全行に衡平性が保たれているか、等を問題にしている。これらの懸念材料を払拭するには取引先すべての金融機関が一堂に会して議事を進行する必要がある。取引金融機関が参加し、議事を進める会合を「バンクミーティング」と称している。独占禁止法の適用に留意している金融機関としては他行と情報交換を行うことには躊躇があり、他行の対応が不明であることが多い。そこで、自行には知らない情報があるのではないか、あるいは、他行に比較して当行には不利な条件が提示されているのではないか、というような疑心を各行が持たないように、同時に全行へ同一内容を開示して協議を得る場が必要となる。2.金融円滑化法の終了 平成21年9月、金融担当大臣は、「リーマンショックからの中小企業の窮状を回復し雇用の維持を図るために金融機関は元金・利息の返済猶予をすべきである」として、同年12月に金融円滑化法が施行された。この法律は、中小企業等の債務者が借入金返済について条件変更等の申し込みを行った場合、金融機関はできるだけ柔軟に対応するよう努力義務を定めたものである。金融機関への申し込みの推移は集計の度に増加し、平成25年9月末までの累計実績として約440万件、企業数としておよそ30万~40万社といわれている。

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