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られのように降ってきた。逃げまどう人々の悲鳴が遠くに聞こえてくる。きいは三人の子どもを両手で押さえ自分の体の下に入れて庇うようにしていたが、子どもたちはブルブルと震え、二歳の子は泣きっぱなしだった。どれほどの時間が過ぎたろう?しばらくして、きいは防空壕入口の■間から外を見ると、夜空が真っ赤がっていた。燃えていくわが家を見ながら、茫然と立ちすくんでいる人もいる。足ががくがくと震えて、歩くのもおぼつかない。広瀬川にかかる橋を渡防空壕に入って間もなく、B二九の爆音が轟き、焼夷弾の破片が、雨あに染まっていた。みな木造の住宅だから大火災を起こしているのだ。空襲警報解除のサイレンが聞こえ、外に出ると、黒く焼けただれた死体や、爆弾片を受けて苦しむ人など、この世のものとは思えない地獄絵が広「父さんは大丈夫だったろうか」  9     戦 争

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