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と手を差し伸べた。二○三○年の夏、こうして高橋健太郎は八十三年の生涯を閉じた。語り終えても返事は返ってこない。いつの間にか、西の空は夕焼けに染まり、気が付くとあの川岸にまた母さんが立っていた。母さんは健太郎に向かって、「まだ、来なくてよかったのに。でも健太郎、すごく■いたかったよ」と、笑っているのか泣いているのか分からない、クシャクシャな顔をしながら、向こうの川岸から健太郎に「さあ、おいで」    6

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