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 わが国の中小企業金融の政策は、平成21年から約5年にわたって、大きな転換点に差しかかっています。そのキーワードは「再生支援策」ということです。平成21年12月に施行されて中小企業金融円滑化法による返済猶予は想定外の広がりになり、この法律が失効した平成25年3月末の時点の公表ベースで40万社が返済猶予先といわれ、実際はさらに多くの中小企業が返済猶予を受けていると見られています。 返済猶予先に対する出口戦略は、この法律がスタートする当初から決められていました。しかし、金融機関と中小企業はそれを実行できませんでした。出口戦略とは、中小企業自身が金融機関のサポートを受けて、経営改善計画を作成し、金融機関はその経営改善計画に沿ったキャッシュフローから生まれる返済財源で返済猶予中の借入を返済してもらうことでした。中小企業には、返済猶予後に1年間の経営改善計画作成のための時間が与えられ、金融機関は、経営改善計画を独力で作成できない中小企業に対して、「顧客企業のライフステージ等に応じて提案するソリューション(例)」の例示に基づいてコンサルティングを行うように、金融庁の指示を受けていました。しかし、この出口戦略を実践に移すことができませんでした。 そこで、目的地までの一里塚を立てて、それを当面の目標とすることが「成功の鍵」になるのではないかと私は思いました。その一里塚こそ、バンクミーティングであると考えています。この本を熱心に読んでいただいた中小企業の経営者、金融機関の皆さま、認定支援機関の方々は、このことをご理解いただけるのではないかと思います。バンクミーティングに向けて、借り手企業が、実現可能性の高い経営改善計画とその返済計画を作成し、自らが主催者になって、借り手金融機関を集めて、今後の再生策を提案します。その文 ■■読者の皆さまへ

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