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第■章バンクミーティングとは何か 実は金融機関にとってバンクミーティングはありがたい制度なのです。多くの中小企業は、貸し手である金融機関は絶対的な存在で、公正公平でルールどおりに迷わずに行動しているものと思っていますが、実は、中小企業の取引金融機関が複数である場合は、各金融機関の担当者は迷いを持ちながらストレスを抱え込んでいます。ほかの金融機関の動きが読めない状況で、業績・業況の不振な企業に独自に支援方針を決定することは、金融機関として大きなリスクがあります。もしも、他行が早期返済(回収)方針をとったならば、その企業の返済負担は急増し、資金繰りの破綻リスクが高まることになるからです。バンクミーティングは、そんな協調融資を行っている金融機関にとって、ほかの金融機関の考え方や対応方針を知ることができる貴重な機会になります。 たとえば、ほかの金融機関が貸出に対して現状維持、または消極的な回収方針になり、自行庫だけでその中小企業を支えることになったならば、「いくらまで貸出を増やし続ければよいのか」と、その不安は大きなものになります。他行の支援姿勢がわからない場合は、その企業の資金繰り見込みも立てることができず、最悪の場合、数日後にその企業は支払手形の決済ができず、倒産してしまうかもしれません。貸出した企業が、ただちに倒産した場合は、金融機関の担当者はもちろんのこと、その上司の何人かは金融機関内部でペナルティを受けることになってしまいます。しかし、バンクミーティングに出席した金融機関は、直接金融機関同士の情報交換はできなくても、種々の説明に対する他行の反応や、質疑応答等を通じて情報を得て、そのストレスを軽減化できます。 その反面、バンクミーティングにおいては、各金融機関とも種々の制約から相互牽制もしますので、それほどの情報は得られないと考える担当者もいるようです。その理由は何とかその場を穏便に済■■(5)金融機関はバンクミーティングで他行の動きを知る

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