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第■章バンクミーティングとは何か 各金融機関相互の交流も活発で、銀行協会や地域の会合などで他行との親睦会、ゴルフ会も行われ、コミュニケーションを保っていました。業務面でも支店間で預金・貸出・外国為替などの情報交換も実施していました。そのような交流のもとで、地元企業が非常事態に陥ったときは、金融機関同士でただちに情報交換を行って、メインバンクが中心になって再生策を検討し、バンクミーティングで合意を得ることが行われていました。 いわばメインバンク制のもとで複数行協調融資が行われていて、企業再生においても今日の中小企業支援協議会的な役割を果たしていました。 法律的に考えれば、支援のためとはいえ、これらの行為は強者である金融機関が、弱者である中小企業の貸出条件を相談して決めるいわば一種の「カルテル」であり、「優越的地位の乱用」行為と言われかねません。しかし、当時の金融機関は顧客企業を支援することが当然視されており、独占禁止法等の適用外にある状態でした。 バブル崩壊で金融機関は多量の不良債権を抱え、その解決に多年を要しました。自行庫の貸出資産の健全化に軸足を置くようになり、中小企業への支援よりも自行庫の不良債権比率の圧縮に注力するようになりました。中小企業の倒産も増加するようになりました。中小企業にとって金融機関は昔のメイン銀行のように、「地元企業を最後まで支える」というイメージが薄くなり、ときには、強者の立場で強引に貸出回収を図ることもありました。貸し渋り・貸し剥がしの言葉が流行して、社会からの批判も大きくなり、金融機関も自社の利益を優先する一企業にしかすぎないとの認識が強くなっていきました。 金融機関全体の変化も大きく、保証協会保証付きの貸出や、「○■(3)メインバンク制が消滅して複数行調整機能が失われた

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