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 本書が世に出るに至った契機は、そもそも3年前に遡る。 当時のTKC全国会某有力役員先生が、私が大蔵省主税局で長年にわたり税制改正のための調査、企画、立案を担当し、税法条文を書いていたという経歴をお知りになり、是非、傘下税理士のために「税法の読み方」を書いてほしいと要請されたことに始まる。 そのとき私は、昭和48年2月頃の主税局係長時代に「税と経営」という雑誌に「税法の読み方」を3回にわたり連載したことを想い出し、税理士先生のお役に立つことができればとそれを膨らませて、TKC税務研究所の機関誌「税研時報」(11巻2号・12巻1号)に連載することにした。そして、執筆するにつれて次第に欲が出て、単なる方法論の解説にとどまらず、この機会に私自身が絡んだ事件等についてそのときの考え方を残しておきたいという想いもあり、そのようなエピソードもいくつか挿入した。そのため、方法論の解説書としては、やや書き過ぎの箇所も多々あるが、立法の背後を知るという意味において、参考になればと考えている。 また、誠に失礼ながら、税理士先生方は判例にあまり慣れておられないことも知ったので、「判例の読み方」まで広げることにした。 ところが、この連載が極めて好評で、各地の税理士先生方の研修用はもとより、税務大学校の本校をはじめ各地域研修所からも教材にと「税研時報」を求める声が相次ぎ、また、各地での講演依頼も相次いだのである。 そして今回、TKC会員先生方をはじめ、内外のご支持を受けて、単行本として刊行するに至ったことは誠に身に余る光栄であり、感謝に堪えない。はじめに〔初版の序〕

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