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規定の対象が重複しないようにする、いわば交通整理」とがあります。 ① 形式的な表現上の重複の排除 この例として、後発的更正の請求に関する国税通則法第23条第2項の規定があります。同項は、「納税申告書を提出した者又は第25条(決定)の規定による決定(……)を受けた者」について規定していますが、同項各号を見ると、「その申告、更正又は決定……」と「更正」が掲げられており、「更正を受けた者」も対象としているはずであるのに、なぜ主語の「納税申告書を提出した者又は第25条(決定)の規定による決定(……)を受けた者」に「更正を受けた者」がないのかという疑問が生じます。これは、「更正を受けた者」は「納税申告書を提出した者」か「決定を受けた者」かのどちらかに含まれる(更正の前には必ず期限内申告書若しくは期限後申告書の提出又は決定処分があるはず)ので、ここで、仮に「更正を受けた者」を引用することとすれば、条文上重複することとなり、また、引用する必要のないものを引用すれば、そこに別の意味が付け加わるおそれもあるため,引用していないのです。 ② 実質的な規定対象の重複の排除 この例としては、上記①と同じく、国税通則法第23条第2項の規定が挙げられますが、同項に「(納税申告書を提出した者については、当該各号に定める期間の満了する日が前項に規定する期間の満了する日後に到来する場合に限る。)」とあります。これは、法定申告期限から5年内に後発的事由が生じた場合には、このようにかっこ書により除かなければ、同条第1項と第2項の適用関係が重複することになり、そのいずれを適用するのかについて混乱も生ずる(現に、その適用が争われた事件もあります)ので、その交通整理をしようとするものです。すなわち、同条第1項に定める「更正の請求ができる期間内(5年間)」については、その理由が申告書提出時に内在していたか、又はその後に後発的事由として生じたものかを問わないで、同項の規定を適用するということです。 ③ 条文の基本は、「主語+述語」 条文の主文(「従文=条件句・修飾句」に対応する「主要構文」の意味)第3章 税法の読み方95

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