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て)提出するものに限り、この特例(通信日付判定)を適用するとしていたのです。物納申請書は、まさにこの類いの書類に該当します。 このように、その法令の立法趣旨が理解できれば、解釈も極めて簡単であるといえましょう。4 さらに、判例を活用する力を養うことも大切(1)判例は、ときには法律をも凌駕する 法令を読み解く力とともに、もう一つ、判例を活用する力を養うことも大切です。なぜなら、確立された判例は、当然のことながら通達を超越し、ときには法律をも凌駕して適用されるからです。 いうまでもなく、法律は、一旦制定されると改正されるまでは固定されています。しかし、社会経済情勢は日々変遷しますから、そこにギャップが生じます。判例は、租税法律主義の範囲内で、利害関係者がそのギャップを埋めようとした努力の結晶です。このことは、例えば、サラリーマンの転勤とその居住用宅地との関係とか、土地収用と居住用宅地との関係などに関する判例の変遷によく現れています。 また、例えば、平成23年12月の税制改正前の法人税法第68条第3項(所得税額控除における限度額)及び第69条第10項(外国税額控除における限度額)では、所得税額控除又は外国税額控除を受けるべき金額として確定申告書に記載された金額を限度とする旨の規定があり、これについて判例は、いくつかの例外を認めました(最高裁平成21年7月10日第二小法廷判決民集63巻6号1092頁、福岡高裁平成19年5月9日判決税務訴訟資料257号順号10708等)。しかし、このような例外については、通達では何ら触れられていませんでした。したがって、例えば、税理士が通達に頼って仕事をしていたとすれば、顧問先に重大な損害を与えたかも知れないのです。 ここに、判例を学び、そして、それを活用する能力が必要な理由があります。序 章  「法令を読み解く力」「判例を活用する力」を養うことがなぜ必要か9

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