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適用されるのです。「当該」とあれば、そのように限定された意味になるのです。「納税申告書」という一般名称と「当該申告書」という個別具体的な名称とを区別して理解しなければならないのです。 ところが、当時の解説書の多くはそこまで詳しく説明しておらず、税理士等の間でも誤解が多く、それによるトラブルも少なくなかったため、上述のように、平成18年度の改正において「その他国税庁長官が定める書類」が追加され、特定の書類を除き、納税申告書と無関係に単独で郵送しても適用されることとなりましたが、「当該」の意味が正しく解釈できないと失敗するという例です(なお、「当該」については第3章第4節171頁参照)。(3) 趣旨を知れば、法令の解釈も簡単に ちなみに、平成18年度の税制改正以前には、国税通則法第22条がなぜ「納税申告書(当該申告書……)」と限定して適用することとしていたかといいますと、納税者から税務署への通知等も、本来は民法の原則に従い、「到達主義」によるのですが、納税申告書のようにその作成に膨大な労力と時間とを要するものにあっては、この原則をそのまま適用するとすれば、税務署から遠隔の地に居住する者は2か月(法人税)ないし2か月半(所得税)の申告書作成期間が1週間近くも短縮される結果となり、納税者間で不公平な事態を招く恐れがあります。それで、作成に時間を要するもの(納税申告書、課税標準申告書、更正請求書、不服申立書)に限り、その通信日付印で判定することとして、全納税者に等しく法律上の2か月ないし2か月半の余裕期間を与えようとしたのです。したがって、例えば、青色申告承認申請書、簡易課税制度選択届出書等のように、経営者がその選択の是非を決断すれば直ちに提出することができるような書類にあっては、上記のような余裕期間を設定する必要性がなく、民法の原則によっていたのでした。ただ、納税申告書と一緒に(同封して)提出するような添付書類や関連書類まで民法の原則によるとすると混乱するので、例外として、納税申告書と一緒に(同封し8

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