sample9244_57129
21/42

1 解説や通達は、すべてのケースを網羅しているわけではない 解説には、解説者が書きたいこと、あるいは自信を持って書けることだけが書かれています。少しでも疑問があれば、解説者はその部分には触れませんし、また、解説者が思い至らなかったことは書かれていません。これは、自分で何らかの文章を書いてみれば、思い当たることです。仮に、あなたが何らかの解説文を執筆するとしましょう。その際、この点は内容的にすこし怪しいとか危ないとか思ったことは、当然、書かないでしょう。また、そのときに頭に浮かばなかった問題には、当然、触れることはないわけです。 つまり、解説に書かれていることを金科玉条と思い込んではいけないということです。序 章  「法令を読み解く力」「判例を活用する力」を養うことがなぜ必要か3 あなたは、現在、直面している問題を解決するために、関係する解説や通達のみに頼って解決策を得ようとしていませんか。しかし、それではなかなか解決策は得られないし、また、大きな間違いを犯すおそれもあります。  なぜなら、解説や通達は、起こり得るすべてのケースをカバーしているわけではなく、解説は解説者が書きたいこと(あるいは、書けること)だけを書いているし、また、通達は国税庁が言いたいことだけを表記しているからです。 したがって、最終的には、自分で法令を解釈して解決策を導き出す必要があります。法令の条文は、どのような問題に対しても答えが出るように書かれています。ここに、法令を読み解く力が必要となる理由があります。 さらには、判例を学ぶことも大切です。判例は、ある特定の裁判において示された裁判所の判断ですが、実務に大きな影響を及ぼすからです。

元のページ  ../index.html#21

このブックを見る