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 この度、企業再生事例集の第2巻を出販する運びになりました。 前巻同様、総論的なノウハウ本ではなく、様々な問題や不安を抱える実在の債務者について、相談時において何を確認し、どうアドバイスすべきかを、具体的に解説した本です。 本来この本は、2011年秋に執筆する予定でした。しかしこの時点では、悪夢の大震災で被災された方々への支援、被災地の復興策、放射能汚染の終息、電力会社への損失補てん等が不透明だったこと。そして何より、この災害でより顕著となった政治不在の影響もあって、「こうすべきだ」という指針が出しにくい状況下にありました。不振企業の経営に一番影響を及ぼす金融円滑化法の帰すうも、2011年秋時点では、何1つ決まっていなかったのです。 それから約半年。迷走状態を続けながらも、新年度(2012年4月)に入ってわずかに大勢が見え始めてきました。そこでようやく、ペンを執ることになったのです。 ここで改めて、本書のベースを整理しておきましょう。1 .本書の原稿は、2012年4月29日㈰〜5月6日㈰のうち、正味5日間で執筆しました。したがって、設問の相談を受けた日は全て2012年4月29日㈰とし、同日時点の制度や運用をベースに解説しています。2 .設問のデータは一部古い日付のものになっていますが、上記の日を起点に、その直前のデータであることを前提にしています。3 .設問は基本的に、当事者の実名が記されていました。したがってアドバイスも、「A銀行だからこう動く。こう対応した方がよい」と、個別の金融機関毎に解説しました。しかし書籍で、実名を記載することは残念ながら不可能です。 具体名を記していないことで、ピンと来ない部分があるかもしれません。予めご了承下さい。4 .初回の相談を受ける時は、面談時間はだいたい1時間が目安です。したがって各設問とも、一読した範囲で気付いた確認事項と、方向性を記載しています。逆に言うとアドバイザーは、本書程度の項目は思い浮ばなければいけないと考えて下さい。  もとより、確認事項のもれや、より適切な選択肢もあったはずです。 本書は、Q&A方式の回答集ではありません。読者の方自らが考える材料として、ご活用頂ければ幸いです。5 .前述の通り、日本の政治は後進国以下です。過去10年に限っても、国家の中枢をは じ め に

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