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⑴Q.金融円滑化法の終了後は、当初の予定通り、返済が開始されるのか?A .金融円滑化法が打切りとなったからといって、元の約定返済に戻るとは限らない。 その時点において業績が改善しているか、または回復の見込みが立っていれば、①返済可能金額での再リスケ。②借入総額全額の長期ローンを組んで(いわゆる一本化)、リスケを解消させる。③DDS(劣後ローン)やDES(債務の株式化)の導入。④サービサー等への債権売却。(DPO※を前提とした借金カットのチャンスを与えるという、金融機関側からの支援的な意味合い)(※DPO: ディスカウント・ペイ・オフ=サービサー等に債権を売却してもらい、借入れ残高よりも低い金額で買い戻す) 上記のような対応になるからだ。 逆に、金融円滑法終了時点で業績の改善が見られない、また将来的にも見込めないというのであれば、①競売等の法的措置。②プロパーについては訴訟の提起。(ただし、勝訴をしても売掛金などへの強制執行[差押え]等は、しないと思う)③保証協会付きの分は代位弁済。④プロパー部分はサービサー等への債権売却。(ケースによっては敵対的意味合い)上記の対応が考えられる。これを本件で見ると、『業績の改善またはその見込み』は、かなり厳しいはずだ。楽観的に考えて、業績が回復していたとしても、個人のローンを含めた債務が相当あるため、『収益は改善しても、キャッシュフローの改善は厳しい』と予想されるからだ。 ちなみに“債務が相当ある”というのは、金額ではなく、債権者の数を指す。 個人も含めれば、債権者数は15を超える。債務の交渉をする際に、この頭数が一番ネックになる。全ての債権者が「あっちはこう言う、こっちはこう言う」の状態になれば、調整が難航するのは自明だからだ。したがって本件でも、『いずれどこかの債権者が、事故扱いにする』ことを前提に、対応を考えておいた方がよい。 もう一つ、考えることがある。 それは、相談内容に記載された、『当初の予定通り、返済が開始されるのか?』という表現、考え方だ。 返済の基本的な考え方は、『収益の中からいくらの返済が可能か?』であって、『債権者の要求する金額をどう支払うか?』ではない。この原理原則を失念すると、「A社に対する返済をしなくちゃいけないから、どこかから借りてこよう」「B社の支払事例1■印刷業

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