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金融機関としては、このような内容を含んだ経営改善計画が作成されることを求めており、もしもそのような計画を中小企業自身が作成したならば、その企業を高く評価するものと思われる。そして、この経営改善計画は企業自身が自主的に作成することが望ましいが、必ずしも独力で作成することにはこだわらない。税理士・会計士などと協力してこの計画を作ったとしてもその評価は高いものになる。税理士・会計士のほかにも中小企業診断士、商工会議所・商工会の経営指導員などの経営・財務の専門家などの支援によっても、経営改善計画提出の効果は大きい。しかも、この計画が、金融機関の本部としても受け入れやすいものであったならば、その評価は一層高いものになる。金融機関は金融庁から、その監督指針で中小企業に対するコンサルティングを行う様に指導されているが、この計画によって、このコンサルティングもスムーズに行われ、金融機関による支援はさらに大きなものになる。すなわち、地域のリーダーで資金的支援者でもある地域金融機関が、支店や本部を上げて中小企業をバックアップできれば、その中小企業を含めた地域への貢献も大きくなり、同時に地域活性化も現実のものになるからである。円高などで大企業の海外シフトが進み、内需の牽引役はまさに中小企業になっている。中小企業が順調に売上を伸ばし、業容を拡大して行くことは、内需を拡大することで、地域を活性化させ、地元に根をおろす地域金融機関の成長にも貢献することである。そのためには、中小企業自身が経営改善計画を作成して自助努力で業績を好転させていくことである。一方、地域金融機関としても平成15年以降リレーションシップバンキング施策において地元中小企業への支援を使命付けられ、金融円滑化法やその関連の金融検査マニュアル・監督指針でも金融庁から尻をたたかれてきた「中小企業への資金面やコンサルティングの支援」を絶対に実行しなければならない。地域金融機関は、地域に残された数少ない有力企業であるという自覚を持ってもらうと同時に、その情報・知識も集約していることから、地域の中小企業や専門家との協業は必須である。また、税理士・会計士などの地域の専門家も金融機関へ提出する経営改善計画を金融機関のニーズに合わせて作成していかなければならない。本書がこのような中小企業、地域金融機関、地域専門家の参考となり、ヒントとなることを心から望むものである。中村  中 久保田 博三渡邊  賢司

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