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戦後、憲法改正により、個人と男女の平等の基本理念にそぐわなくなった旧民法も改正され、「均等均分相続」へと移行されました。均等均分相続においては、男女及び年齢は全く関係なく、全員同じ権利・義務を有することになりますが、義務を忘れた権利の主張が行われることで、遺産争いに発展することも少なからずあります。そのため、多くの人が遺言書の作成による相続争いの防止の必要性について、認識をしていると思われますが、意外と作成にまで至っていない人も多くいるようです。遺言書は自分の死後において遺産をどのように処分するのかを自らが決めておくための手続です。会社経営者にとっては後継者の議決権の確保のために、不動産賃貸業を営む人にとっては家を継ぐ者へ不動産をより多く相続させ、かつ、相続発生後の賃料収入の帰属で争いにならないようにするために、子がいない人は兄弟姉妹には遺留分がないことから残したい人に遺産を残すために、再婚された人で先妻さんとの間に子がいる人にとっては遺言者の遺志を明確にしておくことで争いを防止するためなどに、遺言書の作成は欠かせないものと考えられます。遺言書は、多くの財産を有する人のみが必要とされるものではなく、財産の多寡に関わらず複数の相続人がいる場合には、円満な遺産分割を実現するために必ず必要となるものです。筆者は税理士として多くの相続対策のお手伝いをする中で、相続争いを未然に防ぐことが最も重要な対策であると痛感しています。遺産争いが生じると相続人間において裁判を通じてお互いに誹謗中傷しあったり、究極は殺傷事件にまで発展することがあったりして、生涯埋めることができない大きな溝を作ることにもなりかねません。また、税金上有利な遺産分割の工夫による相続税等の軽減も図ることができはじめに

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