実務家のための
借地権の評価と課税の実務


 税理士 山口 昇 著
(著者)

山口 昇(やまぐち のぼる)
 昭和18年 北海道生まれ
 昭和42年 中央大学卒業
 昭和44年 税理士登録
 昭和47年 税理士事務所開設 以後平成19年12月まで所長

〔著書〕
 『消費税の試算・対策マニュアル』(第一法規)
 『消費税の計算・申告マニュアル』(第一法規)
 『相続税の物納・延納』(第一法規)
(目次)

第1編 借地権等の税務に関連する他の法令等
 □ 民法265~266条・268~270条・280条・601条
 □ 不動産登記法78条
 □ 借地借家法2条・22~25条
 □ 農地法2~3条・19~20条・25条
 □ 公共用地の取得に伴う損失補償基準細則
 □ 土地利用制限率算定要領1~7条・別表第1~2


第2編 借地権等の評価と相続税上の課税関係
 第1章 借地権、その他土地の上に存する権利の評価
  1 地上権・永小作権の評価
  2 相続税における土地の上に存する権利の区分とその意義
  3 借地権の評価定期借地権等の評価
  4 定期借地権等の評価
  5 区分地上権の評価
  6 区分地上権に準ずる地役権の評価
  7 土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価の方法
  8 貸家建付借地権等の評価
  9 転貸借地権の評価
  10 転借権の評価
  11 借家人の有する、借家の敷地である宅地等に対する権利の評価
  12 地上権と建物の所有を目的とする土地の賃借権との差異
  13 借地権の使用貸借と借地権の評価
  14 耕作権等の評価
  15 永小作権と耕作権との関係
  16 山林に係る賃借権等の評価
  17 山林の上に存する権利が競合する場合の賃借権等の評価の方法
  18 原野に係る賃借権の評価
  19 原野に係る区分地上権の評価
  20 原野に係る区分地上権に準ずる地役権の評価
  21 原野の上に存する権利が競合する場合の原野に係る賃借権等の評価の方法
  22 雑種地に係る賃借権の評価
  23 雑種地に係る区分地上権の評価
  24 雑種地に係る区分地上権に準ずる地役権の評価
  25 雑種地の上に存する権利が競合する場合の雑種地に係る賃借権等の評価の方法
  26 占用権の評価
  27 私道の評価
  28 貸宅地等の評価
  29 貸家建付地の評価
  30 無道路地の評価
  31 貸し付けられている農地の評価
  32 貸し付けられている山林の評価
  33 貸し付けられている原野の評価
  34 貸し付けられている雑種地の評価

 第2章 借地権、その他土地の上に存する権利の評価に関連する法令・通達等
 第1節 関連法令等の索引
 第2節 各条項
 □ 相続税法
  23条 地上権及び永小作権の評価
 □ 財産評価基本通達
  9 土地の上に存する権利の評価上の区分
  14-3 特定路線価
  20-2 無道路地の評価
  24 私道の用に供されている宅地の評価
  25 貸宅地の評価
  25-2 倍率方式により評価する宅地の自用地としての価額
  25-3 土地の上に存する権利が競合する場合の宅地の評価
  26 貸家建付地の評価
  26-2 区分地上権等の目的となっている貸家建付地の評価
  27 借地権の評価
  27-2 定期借地権等の評価
  27-3 定期借地権等の設定の時における借地権者に帰属する経済的利益の総額の計算
  27-4 区分地上権の評価
  27-5 区分地上権に準ずる地役権の評価
  27-6 土地の上に存する権利が競合する場合の借地権等の評価
  28 貸家建付借地権等の評価
  29 転貸借地権の評価
  30 転借権の評価
  31 借家人の有する宅地等に対する権利の評価
  41 貸し付けられている農地の評価
  41-2 土地の上に存する権利が競合する場合の農地の評価
  42 耕作権の評価
  43-2 [農地に係る]区分地上権の評価
  43-3 [農地に係る]区分地上権に準ずる地役権の評価
  43-4 土地の上に存する権利が競合する場合の耕作権又は永小作権の評価
  51 貸し付けられている山林の評価
  51-2 土地の上に存する権利が競合する場合の山林の評価
  53-2 [山林に係る]区分地上権の評価
  53-3 [山林に係る]区分地上権に準ずる地役権の評価
  54 [山林に係る]賃借権の評価
  54-2 土地[山林]の上に存する権利が競合する場合の[山林に係る]賃借権又は地上権の評価
  59 貸し付けられている原野の評価
  59-2 土地の上に存する権利が競合する場合の原野の評価
  60 原野の賃借権の評価
  60-2 [原野に係る]区分地上権の評価
  60-3 [原野に係る]区分地上権に準ずる地役権の評価
  60-4 土地[原野]の上に存する権利が競合する場合の[原野に係る]賃借権又は地上権の評価
  86 貸し付けられている雑種地の評価
  86-2 土地の上に存する権利が競合する場合の雑種地の評価
  87 [雑種地に係る]賃借権の評価
  87-2 [雑種地に係る]区分地上権の評価
  87-3 [雑種地に係る]区分地上権に準ずる地役権の評価
  87-4 土地[雑種地]の上に存する権利が競合する場合の[雑種地に係る]賃借権又は地上権の評価
  87-5 占用権の評価
  87-6 占用権の目的となっている土地の評価
  87-7 占用の許可に基づき所有する家屋を貸家とした場合の占用権の評価
 □ 相続税関係個別通達
  ・一般定期借地権の目的となっている宅地の評価に関する取扱いについて

 第3章 相続税・贈与税の借地権課税(概要)
 第1節 個人が借地権取引を行った場合の課税関係の概要
  1 通常収受すべき権利金等を収受して借地権を設定する場合の課税関係
  2 通常収受すべき権利金等の一部を収受して借地権を設定する場合の課税関係
  3 借地権を無償で設定した場合の課税関係
  4 借地権を相続・贈与・譲渡により移転する場合の課税関係
  5 個人借地人が借地を返還した場合の課税関係
 第2節 相続税における相当の地代による借地権の取扱い
  1 相続税の相当地代通達の適用関係等
  2 相当の地代の支払により借地権を設定した場合の課税関係
  3 相当の地代に満たない地代で借地権を設定した場合の課税関係
  4 相当の地代を支払っている場合の借地権の評価
  5 相当の地代に満たない地代を支払っている場合の借地権の評価
  6 土地の無償返還届が提出されている場合の借地権の価額
  7 相当の地代を収受している場合の貸宅地の評価
  8 相当の地代に満たない地代を収受している場合の貸宅地の評価
  9 土地の無償返還届が提出されている場合の貸宅地の価額
  10 相当の地代を引き下げた場合の課税関係
  11 相当の地代を支払っている場合の貸家建付借地権等の価額
 第3節 相続税における使用貸借による借地権の取扱い
  1 使用貸借通達の用語の意義
  2 使用貸借通達の適用関係
  3 使用貸借により土地の借受けがあった場合の課税関係
  4 使用貸借により借地権の移転があった場合の課税関係
  5 使用貸借の目的となっている土地等を相続又は贈与により取得した場合の課税関係
  6 使用貸借に係る土地等の上に存する建物等を相続又は贈与により取得した場合の課税関係
  7 貸地の地主が異動し、新地主と借地人との間において地代の授受がないこととなった場合の課税関係
  8 経過的取扱い――土地の無償借受け時に借地権相当額の課税が行われている場合
  9 経過的取扱い――借地権の目的となっている土地(底地)をこの通達の施行前に借地権者以外の者が取得している場合
 第4節 負担付贈与等により取得した土地等、家屋等についての相続税及び贈与税の取扱い
  1 負担付贈与等通達の趣旨
  2 負担付贈与等通達における用語の意義
  3 負担付贈与等通達における評価額
  4 相続税法7条又は9条の適用について

 第4章 相続税・贈与税の借地権課税に関連する法令・通達等
 第1節 関連法令等の索引
 第2節 各条項
 □ 相続税関係個別通達
  ・ 相当の地代を支払っている場合等の借地権等についての相続税及び贈与税の取扱いについて
  ・ 相当の地代を収受している貸宅地の評価について
  ・ 使用貸借に係る土地についての相続税及び贈与税の取扱いについて
  ・ 負担付贈与又は対価を伴う取引により取得した土地等及び家屋等に係る評価並びに相続税法第7条及び第9条の規定の適用について


第3編 所得税の借地権等の課税関係
 第1章 所得税の借地権課税(概要)
 1所得税における借地権課税の概要
  (1) 借地権の設定時における課税関係
  (2) 借地権の譲渡又は借地返還の場合の課税関係
 2借地権の設定の対価(権利金)が譲渡所得となる場合
  (1) 権利金等が譲渡所得の対象となる借地権等の範囲
  (2) 権利金等の収入金額の基準
  (3) 借地権の設定に際して授受される権利金に対する課税関係
  (4) 借地権の設定の対価とされる保証金に係る経済的な利益
  (5) 借地権の設定による権利金等が譲渡所得となる場合の譲渡所得金額の計算
 3借地権と底地の双方を取得した場合の借地権・底地の取得時期及び取得価額
  (1) 借地権者が底地を取得した場合
  (2) 底地を有する者(土地の所有者)が、その土地に係る借地権を取得した場合
 4 譲渡資産が短期保有資産と長期保有資産とからなる場合の収入金額の区分等
 5 譲渡代金から控除する借地権等の取得費
  (1) 借地権の取得費
  (2) 譲渡の収入金額から控除する土地、借地権の取得費
 6 定期借地権に係る保証金の経済的利益に対する所得税の課税関係
 7 定期借地権の地代の一部又は全部を一括して授受した場合の課税関係
 8 所得税における土地、借地権の価額
  (1) 土地の価額(通常の取引価額としての時価)
  (2) 土地の見込み時価
  (3) 借地権の価額(通常の取引価額としての時価)
  (4) 借地権の見込み時価

 第2章 所得税の借地権課税に関連する法令・通達等
 第1節 関連法令等の索引
 第2節 各条項――所法33条・所令79条関係
 □ 所得税法
  26条 不動産所得
  33条 譲渡所得
 □ 所得税法施行令
  79条 資産の譲渡とみなされる行為
  80条 特別の経済的な利益で借地権の設定等による対価とされるもの
  95条 譲渡所得の収入金額とされる補償金等
第3節 各条項――所法38条・所令174条関係
 □ 所得税法
  38条 譲渡所得の金額の計算上控除する取得費
 □ 所得税法施行令
  174条 借地権等の設定をした場合の譲渡所得に係る取得費
  175条 借地権等の設定をした土地の底地の取得費等
  176条 借地権の転貸に係る取得費
  177条 転貸をした借地権の取得費
 第4節 各条項――所法60条関係
 □ 所得税法
  60条 贈与等により取得した資産の取得費等
 第5節 各条項―所法61条関係
 □ 所得税法
  61条 昭和27年12月31日以前に取得した資産の取得費等
 □ 所得税法施行令
  172条 昭和27年12月31日以前に取得した資産の取得費
 □ 租税特別措置法
  31条の4 長期譲渡所得の概算取得費控除
 第6節 各条項――所法37条・所令182条関係
 □ 所得税法
  37条 必要経費
 □ 所得税法施行令
  182条 借地権等の更新料を支払った場合の必要経費算入
 第7節 各条項――所法59条関係
 □ 所得税法
  59条 贈与等の場合の譲渡所得等の特例
 □ 所得税法施行令
  169条 時価による譲渡とみなす低額譲渡の範囲
 第8節 各条項――所法90条関係
 □ 所得税法
  90条 変動所得及び臨時所得の平均課税


第4編 法人税の借地権等の課税関係
 第1章 法人税の借地権課税(概要)
 1 法人税の借地権課税の概要
  (1) 法人税における借地権の意義・借地権設定の範囲
  (2) 借地権の設定時における課税関係
  (3) 借地権の譲渡又は借地返還の場合の課税関係
 2 借地権の設定による帳簿価額の一部損金算入の制度
  (1) 借地権の設定の範囲等
  (2) 借地権の設定による地価の下落割合
  (3) 損金算入額とその方法
 3 特別の経済的な利益が借地権の設定の対価に加算される場合の課税関係
  (1) 特別の経済的な利益が生ずる要件
  (2) 特別な経済的な利益額の計算とその税務処理
  (3) 特別の経済的な利益を返還した場合の課税関係
 4 相当の地代による借地権等の設定に関する課税関係
  (1) 借地権の設定等の範囲
  (2) 相当の地代の取扱い
  (3) 相当の地代による借地権の設定等
  (4) 相当の地代に満たない地代を収受している場合の権利金の認定
  (5) 相当の地代を引き下げた場合等の権利金の認定
  (6) 通常権利金を授受しない土地の使用による課税関係
  (7) 共同ビルの建築の場合
  (8) 権利金の認定見合せ
  (9) 相当の地代の改訂方法
  (10) 更新料等の認定
  (11) 相当の地代に係る借地権の価額
 5 法人税における土地、借地権の価額
  (1) 土地の価額(通常の取引価額としての時価)
  (2) 土地の見込み時価
  (3) 借地権の価額(通常の取引価額としての時価)
  (4) 借地権の見込み時価

 第2章 法人税の借地権課税に関連する法令・通達等
 第1節 関連法令等の索引
 第2節 各条項――法人令137条関係
 □ 法人税法
  22条 各事業年度の所得の金額の計算
 □ 法人税法施行令
  137条 土地の使用に伴う対価についての所得の計算
 □ 法人税基本通達
  13-1-2 使用の対価としての相当の地代
  13-1-3 相当の地代に満たない地代を収受している場合の権利金の認定
  13-1-4 相当の地代を引き下げた場合の権利金の認定
  13-1-5 通常権利金を授受しない土地の使用
  13-1-6 共同ビルの建築の場合
  13-1-7 権利金の認定見合せ
  13-1-8 相当の地代の改訂
  13-1-13 更新料等
  13-1-14 借地権の無償譲渡等
  13-1-15 相当の地代で賃借した土地に係る借地権の価額
  13-1-16 貸地の返還を受けた場合の処理
 第3節 各条項――法人令138条関係
 □ 法人税法施行令
  138条 借地権の設定等により地価が著しく低下する場合の土地等の帳簿価額の一部の損金算入
  139条 更新料を支払った場合の借地権等の帳簿価額の一部の損金算入等

■参考文献

■法令等の総合索引


(はじめに)

 本書は、相続税の財産評価、所得税・法人税における財産の取引価額(時価)の推定、財産の得喪・変更に伴うこれら各税法の課税関係を述べるシリーズの1冊で、借地権を中心として、地上権、土地の賃借権に関する税務を詳述しようとするものです。
 借地権等に係る税務は、契約の当事者が個人同士であるか、法人同士であるか、法人と個人間の取引であるかによって、課税関係が複雑に入り組み、また、頻繁に行われる取引でもないことから、税の実務家にとっては厄介な税務の一つです。
 本書は、税の実務家を対象としています。著者の経験からすると、実務家がその事務処理に当たって生ずる疑問点や、難渋する事柄は、概ね個別的で特殊な事例や、事務のツメとして避けることのできない各税法の相互関係・細部の確認などに関するようなものであると思われます。
 これらの事柄についての解答の大部分は、関係法令及びその行政解釈である各種通達に示されていることはいうまでもありません。しかしながら、税法はとても読み難く(規定の内容が難しいのではなく、その表現方法が独特で読みづらい)、しかも実務家は、日常の業務の中で、てばやく条文を読み、解釈・適用しなければならない場面に立たされることが少なくありません。
 そこで本書では、読みやすく、理解しやすいように様々な工夫を施して(「本書の特色・凡例」をご覧下さい)、借地権等をめぐる法令等を徹底的に解剖し、その相互関連を明らかにしています。
 本書が、実務家の方々にとって、借地権等に係る適正な評価・課税の実務遂行の一助となれば、これに勝る喜びはありません。

平成19年2月吉日
山口 昇

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