にわたる経済の低迷が続くなかで中小企業の存続と発展を実現するためには、会計記帳に始まる会計プロセスの全体を見直し整理して、その機能を強化するほうが重要な課題となっていたのです。その究極の目的は、中小企業の存続と発展を願う立場から、その黒字決算と適正申告を奨励する会計ルールの確立でした。しかし、面白いことに歴史は繰り返すようです。いま、会計パラダイムが再び変わりつつあるようです。今度もアメリカ発なのですが、日本版SOX法(金融商品取引法)の導入による内部統制の要求は、会計手続きの抜本的な見直しを上場企業を始めとする大企業に迫っています。本書に示された「会計の目的は、まず倒産防止にある」という坂本先生の指摘は、中小企業のみならず大企業においても経営者が襟を正して聞かなければなりません。倒産という最悪の事態に至らなくとも、虚偽の会計記帳により虚偽の会計報告がなされた場合は、経営者は巨額な罰金と禁固刑を含む刑事罰を受けることになるからです。会計報告は「出口論」ですが、内部統制は「入口論」から始まります。その統制範囲は日々の取引現場からスタートするのです。したがって会計事実の認識と会計記帳の見直しから始めなければなりません。その目的は、企業の倒産を招くすべてのリスクを経営者が自らの責任において排除し、会計報告の正確性を保証することです。こうして「出口論」に傾いた会計学が、会計のすべてのプロセスをめぐる本質論に復帰してくることになるのです。009
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