人間は思ったとおりの人間になる人間には素晴らしい能力が与えられています。自分で理想を掲げ、夢を持ち、それに向かって万難を排して努力をすれば、必ずやその夢はかなえられるし、思ったとおりの人生を送ることができる、というものです。ところが、残念なことに、この法則を知る人は少なく、それを実行している人はなお少ない、というのが現実です。この法則が正しければ、人間の集合体である企業も同様の法則に支配されるはずです。ところが、企業はさまざまな意識を持った人の集合体ですので一筋縄ではいきません。企業の夢(つまりは経営者の夢)を実現するためには、「経営者の意図」を確実に末端まで浸透させる仕掛け、仕組みが必要です。それこそが良好な企業風土を前提にした「経営計画書」なのです。現在、中小企業の実に60%超が赤字であるといわれています。確かに環境の変化が企業の生息を許しづらくなっているという側面もあるでしょう。しかし、社会環境が激変してしまった今、私は、個々の企業経営者が社会から「自社の存在意義を問われている」という気がしてなりません。時代の変化に対処して「自らを変革していく」ことが要請されているのに変えようとしない姿勢に対して「NO」が突きつけられているのです。しかし、中小企業の疲弊は、単にその中小企業だけの問題にとどまらず、日本全体に由々しき影響を及ぼす大問題である、と捉えるべきであると考えます。我が国の企業の所得の約80%は大企業が生み出しています。ところが、雇用の実に約65%は中小企業が支えているのです。すなわち、中小企業は雇用を通じて日本の社会の安定性に寄与しているといえるのです。もし、これ以上、中小企業の業績が悪化して、雇用を支えられなくなったら、日本の社会の安定性すら脅かされてしまうでしょう。現に、その兆候は間違いなく至るところで表れています。この状態をより善きものに変えていくには適切な政策も必要でしょうが、それ以上に、企業家マインドを持った経営者iはじめに
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