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NPO法成立の契機になったのは、1995年の阪神淡路大震災でした。この震災で救援活動に参加したボランティアは150万人以上といわれています。行政はできるだけのことはしましたが、「常に公平で均一なサービスを提供しなければいけない」という行政の大原則が、障害になりました。多様なニーズに行政は応えられないことが、災害をきっかけに露呈したのです。また、主務官庁の指導監督が厳しい社団法人や財団法人なども、災害のような予定していない緊急的な事業を行政の許可を得ないで実施することに制約がありました。これに対して、民間のボランティア団体は、すべての人に均質のサービスを提供する必要がないため、機動力と柔軟性という特質を遺憾なく発揮しました。柔軟性があるということは、ある意味では不公平ともいえますが、だからこそ行政にはできないことができたというわけです。そのような中で、1998年、NPO法は成立しました。NPO法が成立する前は、非営利法人はすべて許認可制で、行うことができる事業は限られ、行政からの日常的な指導監督もありましたが、NPO法の成立によって、行政の指導監督を受けない非営利法人を設立できるようになったのです。NPO法では、法令に定める要件を満たしていれば、所轄官庁は必ず設立を認める認証主義を取っています。また、法令や定款に違反がある恐れがある場合を除き、呼び出しや調査をすることができません。日常のNPO活動には口を出せないことになっています。さらに、2001年には、NPO法人の中でより公益性の高い法人に税制上の優遇を与える認定NPO法人制度もできました。NPO法が1998年に施行されて10年。今度は、明治以来続いてきた公益法人(社団法人・財団法人)に関する法制度が2008年12月に抜本的に変わりました。従来の公益法人制度は、主務官庁制、許可主義であり、法人の設立と公益性の判断は一体でした。主務官庁制とは、公益法人の設立および指導監督に関する権限は、主務官庁に与えられるものです。許可主義とは、団体に法人格を与えるかどうかを行政庁の自由な裁量に任せ、個別的に許可を与える主義をいいます。この公益法人制度が大きく変わり、主務官庁制、許可主義が廃止され、法人の設立と公益性の判断が次のように分離されました。①非営利の社団、財団について、公益性の有無にかかわらず、定款を作成するなどの手順を踏んで登記すれば設立できる、一般社団法人・一般財団法人制0052.NPO法の成立3.公益法人制度の改革

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