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iコロナ禍に見舞われた世界は感染症の爆発的拡大の防止と社会経済活動との両立に四苦八苦しています。我が国においてもこの両面に対応すべく令和3年度の税制改正が行われました。令和2年9月に内閣総理大臣に就任した菅首相は、まずは新型コロナウイルス感染症の克服などを打ち出すとともに、今回の感染症では我が国における行政サービスや民間分野のデジタル化の遅れなど、さまざまな課題が浮き彫りになったとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)の取り組みを強力に推進するとしました。また、成長戦略の柱として経済と環境の好循環を掲げ、2050年にカーボンニュートラルの実現を目指し、それに必要な税制上の措置を講じるとともに、課題の一つとして中小企業の生産性向上の実現のための施策実施を打ち出しました。これらを実現するために、令和3年度税制改正では法人税改正を中心に多くの改正が行われています。法人税では、産業競争力強化法の認定を受けることを前提にDX投資金額300億円を上限とする30%特別償却又は3%税額控除、カーボンニュートラル投資金額500億円を上限とする50%特別償却又は5%税額控除などの新設、試験研究費税額控除の拡充などが行われています。また、産業構造の変革をさらに推進するため、自社株式を対価とするM&Aについて、課税の繰延べや混合対価を認める措置も設けられています。中小企業向けでは、中小企業経営強化税制及び中小企業投資促進税制の拡充・延長、中小企業経営資源集約化等税制措置の創設、雇用者給与等支給額増加税額控除の要件緩和など注目の改正が目白押しです。一方、コロナ対策や経済対策の一環として住宅ローン控除や固定資産税の軽減措置の延長、令和3年度限りの特別措置も講じられており、不動産関連税も軽減されています。ただ、デジタル化推進の流れの中で、訂正等履歴の保存のない電子帳簿にも電子帳簿保存法の適用が認められる改正が行われるのは誠に残念です。トレーサビリティの確保を含む事後検証可能性の観点から、諸制度のあり方やその工程等について早急に検討を行い、結論をはじめに

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