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今年の税制の目玉でもある5G(第5世代移動通信システム)投資減税制度も通信安全保障上の観点から新設され、内閣主導で異例ともいえる15%もの税額控除ができる制度になりました。ローカル5Gも対象になっており、大企業だけでなく中小企業でも活用可能になっています。もう一つの目玉でもある連結納税制度は、創設以来18年目で抜本的に見直され、グループ通算制度に移行します。事務手続きが大幅に簡素化され、組織再編税制との整合性がとれるなどより一層使いやすい制度になったといえます。不動産関連では、民法改正に伴う配偶者居住権等に関する規定が整備され、配偶者居住権の消滅時や敷地利用権の譲渡時における取得費に関する取扱いが明確になりました。低未利用地の活用促進として譲渡所得の特別控除の創設により地方の不動産取引の活性化が図られています。一方、所有者不明土地等に係る固定資産税の徴収困難への対応も行われています。所得税関連では、未婚のひとり親に対する税制上の措置及び寡婦(夫)控除の見直しが行われ、未婚・既婚を問わず子育てを応援する改正となっています。そして、少子高齢化時代における対応として、確定拠出年金等の加入可能年齢の見直しに伴う税制上の措置や、老後資金の確保に伴う、NISA制度が積立・分散投資を促進する改正・延長が行われています。その他、消費税申告期限の延長制度が創設され、電子帳簿保存法の改正により領収証等が電子データのまま保存できるようになるなど、納付や申請の手続きの電子化・簡素化も図られています。そして租税回避行為への対応として、海外子会社からの受取配当等の益金不算入制度、金の売買を繰り返すことによる居住用建物に係る消費税の仕入税額控除制度による消費税還付、国外中古建物の不動産所得の損益通算、国外財産調書制度等の見直し、国外居住親族に係る扶養控除等の課税の適正化など、租税回避行為への規制に関する対応が数多く置かれています。これも本年度の税制改正の特徴といえ、これらに対し正確な理解と対応が求められています。最後の章に緊急追加した「新型コロナウイルス感染症緊急経済対策における税制上の措置」については、納税猶予制度、中堅企業への欠損金の繰戻し還付制度、住宅ローン控除の要件緩和、消費税届出書のii

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