日本税理士会連合会編『新税理士法[六訂版]』(税務経理協会)には、税理士法第1条について、以下の説明があります。 税理士制度は、税務に関する専門家としての能力、識見を有する者即ち税理士が納税義務者を援助することを通じて、納税義務者が自己の負う納税義務を適正に実現し、これによって、申告納税制度の円滑、適正な運営に資することを期待して設けられたものであり、この点において、税理士制度と申告納税制度とは形影相ともなう一体のものとしてとらえる必要がある。法第1条における「申告納税制度の理念にそって」との表現はこの趣旨をさしたものである。 税理士はこのような公共的使命を担うものであり、委嘱者たる納税義務者の援助に当たっては、納税義務者あるいは税務当局のいずれにも偏しない独立した公正な立場で、税務に関する専門家としての良識に基づき行動しなければならない。税理士がこのような立場で、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図るという使命を果たしていくことは、納税者との間に健全かつ強固な信頼関係を育成することになり、また、税理士に対する社会的評価をより高いものとする。 なお、「納税義務の適正な実現を図る」とは、税法に定めるとおり“過大でも過小でもなく納税する”との趣旨であり、これにより、納税義務者の租税債務の履行は何らの不利益を被らないことになる。(中略) 申告納税制度の下では、納税義務者は積極的に自己の納税義務の範囲を明らかにする必要があり、納税義務者にとって、信頼できる専門家の援助の必要性はますます強まっている。税理士としても、かかる要請に十分こたえることにより、申告納税制度の発展に寄与することになり、その結果、税理士に対する社会一般の信頼と評価を高め、社会的地位を向上させることになる。税理士法第1条(税理士の使命) 税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。135(5)税理士の使命として(税理士法第1条)以降のページは省略しています
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