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 わが国の税法は、帳簿の範囲や帳簿記載の条件を詳しく定めています。これが遵守されており、個人又は法人が作成した帳簿書類の計算の誤り等がなければ、これを尊重し、税務当局はこれを認める法制となっています。 飯塚毅初代会長はこの点につき、「日本では、法人税法第130条、所得税法第155条が、(中略)青色申告書を適法に出している法人・個人の申告所得額について、更正処分をする場合には『帳簿書類を調査し……金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる』との明文規定がある。これを日本の行政、学界、及び実務家の多くの方々は、更正処分の制限に関する技術的な条項又は特典だとしか理解しておられないのである。だがそれは誤りであると思われる。条文は厳として眼前に実在するのであるが、これを会計帳簿の『証拠性』または『証拠能力』ないしは『証拠価値』を意味するものだ、とまでは理解しておられない。少なくとも公表された文献上の表現からは、そう理解している、と認められる表示はない」(14)と言われています。 また、「この政府による是認義務宣言の法理は何か。それは国が税法の中で帳簿の範囲と記帳の条件とを詳細に明定しているので、これが履行の対価として、計算に誤りがない限りは、その記帳結果としての所得計算を是認する、と所得税法第155条(青色申告書に係る更正) 税務署長は、居住者の提出した青色申告書に係る年分の総所得金額、退職所得金額若しくは山林所得金額又は純損失の金額の更正をする場合には、その居住者の帳簿書類を調査し、その調査によりこれらの金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。(以下省略)法人税法第130条(青色申告書に係る更正) 税務署長は、内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には、その内国法人の帳簿書類を調査し、その調査により当該青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の計算に誤りがあると認められる場合に限り、これをすることができる。(以下省略)※条文中の( )内を省略して掲載しています。130(3)所得税法・法人税法からの要請

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