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 また、「正確性」の具体的な内容については、会社法及び計算規則においては、特に規律が設けられていません。一般的に、「正確」とは会計帳簿に記載すべき事項が漏れなく記載され、かつ、その内容が事実に相違ないことをいい、具体的には、①取引事実にかかる記録が適切な証拠資料等に基づき行われていること。②取引事実につき記録された価額・計算が正確であること。と解されます。(10) このように、適時・正確に作成された会計帳簿を基礎として計算書類等を作成します。ここでは、「一般に公正妥当と認められる企業会計の慣行」に従って、適切に会計処理を行います。(11)そして、その計算書類等の財務情報に基づいて経営分析等を行うことにより、自社の経営力を強化し、また金融機関等への説明を通じて資金調達力の強化が可能となります。 つまり、会計帳簿は、会計行為を記録する出発点における記録簿であり、会計帳簿への記録から、企業の行動様式を知ることができるようになります。したがって、適時・正確に作成された帳簿に基づいて作成される計算書類等は信頼性が高く、結果としてその企業の信頼性を高める効果が期待できます。 また帳簿は、事業者自らが記帳するように指導しなければなりません。 「帳簿の証拠力や記録の信頼性は、本来、帳簿の作成者によって実施されることにより、作成者の自己責任のもとにおいて『帳簿の証拠力』が固まるもので、記帳代行により他者による記帳に頼ることは『帳簿の証拠力』を弱め、したがって『記帳の信頼性』が保持できない」ことになるわけです。(12) 取引記録(会計帳簿)の作成はクライアント(顧客)自らが実施し、会計専門家としての税理士は「記録の信頼性」を第三者的に裏付け、その結果として計算書類の信頼性を確かめるため、月次巡回監査を実施する必要があるわけです。 さらにTKC会計人は月次で確証した情報(月次決算)を第三者機関である㈱TKCに伝送し、過去の記録の追加、削除、訂正ができないようにしています。こうすることで、記録された過去の実績データが追加・削除・訂正の処理を通じて、「改ざん」され、あるいは「ねつ造」されたものがないことを第三者に対して立証できることとなります。(13)128

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