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 株式会社の計算に関する総則規定として、会計帳簿への記帳要件が、「適時に」「正確な」と定められています。 ここで、「適時性」が求められるのは、適時に記帳がなされないと、会計帳簿からの脱漏、あるいは人為的改ざんによる不正の起こる可能性が高まるので、これを排除する必要があるためです。また、「正確性」が求められるのは、それ自体真実な情報を提供するための記録の基本となる要件であるからです。 「適時性」の具体的な内容については、次のように解説されています。 わが国の商法・会社法に盛り込まれた『適時性』は、ドイツ商法239条の記帳のzeitgerichtという用語を直輸入したものだからです。ドイツでは、租税判例や行政規則によって『記帳の適時性(zeitgericht)』の内容が明確化されています。具体的には、現金取引はその日のうちにその『現金残高』を、売掛買掛等の信用取引は取引発生日の翌月末までにその残高を掌握することです。(9)3 商人は、帳簿閉鎖の時から十年間、その商業帳簿及びその営業に関する重要な資料を保存しなければならない。4 裁判所は、申立てにより又は職権で、訴訟の当事者に対し、商業帳簿の全部又は一部の提出を命ずることができる。関する重要な資料を保存しなければならない。商法第19条(商業帳簿) 商人の会計は、一般に公正妥当と認められる会計の慣行に従うものとする。2 商人は、その営業のために使用する財産について、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な商業帳簿(会計帳簿及び貸借対照表をいう。以下この条において同じ。)を作成しなければならない。会社法第432条(会計帳簿の作成及び保存) 株式会社は、法務省令で定めるところにより、適時に、正確な会計帳簿を作成しなければならない。2 株式会社は、会計帳簿の閉鎖の時から十年間、その会計帳簿及びその事業に127(2)商法・会社法からの要請

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